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ソムリエ米津のワインのすすめ~ブドウ畑でつかまえて~vol.5

2017.06.06

【イタリアワインの格付け】

こんにちは!
皆さん、イタリアワインって分かりにくいですか?

 

いわゆるニューワールド(おおむねヨーロッパ以外ですね♪)のワインはラベルにカベルネ・ソーヴィニヨンとかメルローとか書いてあるので、好みの品種を見つければあとは簡単ですね◎
フランスはボルドー、ブルゴーニュなど産地に対してしっかりと格付けがあるので、これもまた覚えやすいのではないかと思います。

 

さて、ここにきてイタリア、はっきり言って分かりにくいんです。
理由はいろいろありますが、イタリア人の個人主義、ローカル主義が大きな要因ではないかと思っています。
要するに、「俺の地元が最高!」ってみんなが思ってるのではないかな、と。
それはそれでいいことですけどね^^

 

・イタリアワインの格付け

 

イタリアワインは大きく分類すると、VINO、IGP、DOPの3つに分かれます。

 

まず、VINOヴィーノですが、ある意味これが一番わかりやすいかもしれません。
端的に言えば、なにも規制のないテーブルワインです。
例えば、南のプーリア州で作ったブドウと北のピエモンテ州で作ったブドウを混ぜてもいいんです。
去年収穫のブドウと今年収穫のブドウを混ぜてもいいんです。
反面、高級ワインにはなりません。
小売価格で言っても1,000円以下のものがほとんどでしょう。

 

次に、IGPですが、そもそもEUではこれをIGPと呼ぼう!と統一したところ、イタリアでは伝統的に使っていたIGTでもIGPでもどっちでもいいよー、と未だに統一されていません。
どちらかといえば7対3くらいでIGTが多いのではないかと思います。
で、IGTとは何かと言われますと、難しくいえば「保護地理表示ワイン」です。
「Terre Siciliane IGT」と書かれていれば、「このワインはシチリア産のブドウで造られています」という保護が付いているということです。

 

そして、DOPです。
DOPもIGPと同じく、DOC、DOCGの表示も認められています。
しかもDOPとDOC、DOCGは併記も認められているのです。
つまり「キアンティDOP」「キアンティDOCG」「キアンティDOP/DOCG」どれでもいいということですね。

 

しかしながら現実的にはほとんどの生産者はDOC、DOCGGの方を使用しています。
なお、DOCとは「統制原産地呼称」、DOCGは「保証つき統制原産地呼称」の略で、要は「キアンティ」を名乗るなら決められたエリア、品種、造り方などの規制がありますよ、ということです。
ですので、VINO、IGT、DOC、DOCGの順に格付けは上位に、規制は厳しくなります。

 

・結局どれが上なんだ?!

 

正直、ここまでならそんなに難しいことはないんです。
問題はここからです。

 

例えば、フランスならDOPに相当する、AOCという法律があります。
しかもそれが広域エリア名、狭域エリア名、村名、畑名とゆるぎない順番で整備されているのです。

 

ブルゴーニュであれば、「ブルゴーニュ」「コートドニュイ」「ヴォーヌロマネ」「ロマネコンティ」など、狭くなればなるほど、品質(と価格)は比例して上がっていくのです。
それが「ジュヴレシャンベルタン」でも「シャンボールミュズィニー」でも村名であれば村名で、格付けのピラミッドの上下は変わらないのです。

 

さてイタリアではどうかと言いますと、格付けが一番上のDOCGに「キアンティ」というワインがあります。
その歴史は古く、1716年にはこれを保護してまがい物から守ろう、という動きがでてきます。
ですがその後「キアンティ」はエリアをどんどん拡大していくのです。
その結果、近年になって本来の「キアンティ」であったエリアは「キアンティ クラッシコ」として独立、別のDOCGになりました。

 

これがイタリアワインは難しいと思われる原因のひとつですね。

 

コンビニで1,000円以下で売っている「キアンティ」と
造り手によっては1万円を越える「キアンティ クラッシコ」が
同じ最上位の格付けDOCGに認定されているんです。

 

この辺りで、結局どっちが上なんだ?!となるのですが、さらに、、、

 

・スーパータスカンの登場

 

さらにイタリアワインのややこしいことに、1970年代から品質向上にいろいろな動きがありました。
従来、大樽で長期熟成が必要だったバローロの改革をした「バローロボーイズ」。
また、「キアンティクラッシコ」地域の生産者たちも、規制にとらわれない自由な発想でワインを造り始めます。
これが近代的なスタイルで消費者に受け入れられ、「スーパータスカン」あるいは「スーペルトスカーナ」と呼ばれるようになります

 

規制にとらわれない自由な発想、ということは要するにDOC、DOCGを無視しちゃうわけですね。
つまり、格付けで言えば、IGT、またはvino(かつてはVdTと呼ばれていました)になってしまうわけです。

 

そんなこんなで、イタリアにおいては
2~3万円で格付けは一番下のvino

 

1000円で格付けは一番上のDOCG
ということもあるのです。

 

・そうでないのも中には…

 

あることはあるんです。
DOC「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」の上位により限定的なDOCG「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」、
DOC「ロッソ・ディ・モンテプルチアーノ」とDOCG「ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ」などですね。
ただ、DOC「ロッソ・コーネロ」の上位にDOCG「コーネロ」など、名前が短くなるのもあったり(名前が長い方が上位っぽくないですか?^^;)、結局分かりにくいと思うのです。。。

 

 
・ならばどのようにイタリアワインを覚えるか

 

これは個人的な見解で少し乱暴な言い方ですが、イタリアワインは「格付け」という観点で覚える必要はないと思うのです。

 

まずはニューワールドと同じように、品種を覚える。
サンジョヴェーゼ、ネッビオーロ、アリアニコ、などなど見慣れない品種が多いと思います。
そんな時は写真に撮ってしまえばいいんです^^
レストランで、あるいはワインショップで、その写真をソムリエに見せてください。
そして、「前に飲んだこれがおいしかったんだけど、同じようなものはありますか」と聞いてください。
そうしたらそこはプロですから、きっと近い味わいのものを紹介してくれるはずです。

 

また、そのために我々ソムリエがいるのだと、私は思っています。
何度かそんなやりとりがあれば、きっとお好みの品種が見つかるはず☆

 

難しい格付けのことは一旦おいといて、まずは飲むことを楽しみましょう♪

 

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